もう30年以上前のことだが、中学受験組だった。
当時は東京でも少数派で、
受験戦争第一次ブームの真っ只中だった。
小学校5年生のときに、地方から東京に越してきて、
友人たちのクールな感じにショックを受けた。
バカにされたくないと思って、進学塾に入った。
塾自体はけっこう楽しかった。
先生は論理的でわかりやすく、
塾の友達は、学校の友達より魅力的だった。
が・・・
受験に失敗した。
正確にいうと、半分くらい失敗したのかな。
一応、第二志望の女子校に合格し、入学した。
失敗はその後だ。
学校に合わなかったのだ。
女子校特有のギラギラ(男性に飢えている?)したノリも、
冗談みたいに意地悪なシスターにも、
1時間も乗らなければならない満員電車にも。
結局、その後また引っ越すことになり、
高校は地方の県立高校に通い、大学入試も受けた。
普通に高校まで公立に通った子たちと何も変わらない道筋。
もし・・・
中学受験をやらなかったら、と思うことが時々ある。
もっと好きなことに熱中できたかもしれない。
もしかしたら漫画家になれたかな。
絵本も描けたかな。少なくとも美大に行けたかな。
いや、結局のところ同じだったかもしれない。
でも、あの時、とても大切な何かを失ったような気がしている。
一瞬しか手に入らない貴重で柔らかい何かを。
だから、子供に中学受験をさせようと思っている親は、
しっかり、しっかり確認しておいてほしい。
本当にその子にとって必要なことなのかどうか。