節約たまき本まき。世の中寸評記。

考える、ありふれた建売戸建にて。

『博士と彼女のセオリー』(映画)

 スティーヴン・ホーキング博士といえば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の天才ということと『ホーキング、宇宙を語る』という本のことくらいしか知らなかった。どちらかというと、あまりにも天才過ぎて遠い存在の人というイメージ。

 でも、映画を見てはっとした。若いころの博士は、悪ふざけや恋もするキラキラとした青年で、まだ自分がALSになるなんて思ってもいなかったのだ、当然。ケンブリッジ大学で物理学を学んでいた彼は、文学を学んでいたジェーンと恋に落ちる。ほどなくして余命2年と診断され、自暴自棄になるも、周囲の反対を押し切ってふたりは結婚する。そして子供も生まれる。

 結婚後、スティーブンは博士論文を絶賛され、「ビック・バン」に関する発表で名声を得る。一方、すべてを犠牲にして博士をサポートしてきたジェーンの心は限界に。さらに、博士の病気は容赦なく進行していく。

 結局、ふたりは別れることを選択し、それぞれ別の人と再び結婚することになるのだが・・・大英帝国勲章を受勲する際、ホーキング博士は、ジェーンとバッキンガム宮殿を訪れた。

 これはジェーンへ捧げる映画のような気がした。ジェーンがもし存在しなかったら、ホーキング博士もここまで有名にはならなかったかもしれない。もちろん博士はユーモアを持ち合わせた素晴らしい天才なのだけれども、ジェーンの理解と献身も同じように賞賛されるといいな、と思う。

 

2014年 123分

監督  ジェームズ・マーシュ

出演者 エディ・レッドメイン

    フェリシティ・ジェーンズ