養老孟司さんの本はたくさん持っているが、
『日本人はどう住まうべきか?』(新潮文庫)
は、隈研吾さんとの対談をまとめたものだ。
10年くらい前のものであるが、
折に触れて読み返している。
1937年生まれの養老先生と
1954年生まれの隈研吾さんは、
栄光学園中学・高校の先輩後輩なのだとか。
二人に共通しているのは、
「現場主義」ということだ。
ものすごく頭脳明晰であるにも関わらず、
決して観念的にならない。
手で触るもの、肌に触れるもの、
目も前にある「それ」を無視しない。
だから養老先生は解剖学者であったし、
虫取り名人でもあるし、
隈研吾さんは環境と共生する
「負ける建築」を目指している。
本書は「住まい」についてである。
現在の都市の得体の知れない息苦しさの原因は何か。
それは、均一化されたコンクリートの高層マンション
に住み、高層ビルにある仕事場に通うことによって、
人間が、地面から遠くに離れて、
観念的なり過ぎたからではないだろうか・・・
というのである。
もともと日本人には「土地と繋がる身体感覚」があって、
環境と共生して「だましだまし」生きていたという。
日本人には「地べた」が大事なのだという。
言われてみるとそんな気もする。
リンク